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一般相対性理論を理解するには,特殊相対性理論の理解が不可欠である. 特殊相対性理論では, ある観測者が観測する事象の起こった時間と場所について議論する. 事象とは,物理学的な出来事をいう. 同じ事象であっても, 観測者が異なれば当然に事象の起こった時間と場所は異なるように観測される. 異なる観測者間では互いに信号をやりとりすることで, 相手の観測した時間と場所を知ることができる. このとき,信号の伝播速度には上限があり,その上限は光速であるというのが, 光速不変の原理である.信号をやりとりする通信手段としては, 光を用いるのが通常であるので,アインシュタインは光に限って議論しているが, 世の中には光を用いない通信手段も存在しているので, それらすべての通信手段を含めて考えても, 信号の伝播速度には上限があり,その上限は光速である, というように光速不変の原理は解釈されるべきである.
ある観測者が事象の起こった場所と時間をそれぞれ観測するが, 別の観測者が観測した場所と時間を自分の場所と時間に置きなおしたり, 逆に自分の観測した場所と時間を相手の場所と時間に置きなおしたりする座標変換は, 光速不変の原理によって,本来別概念である場所と時間が制約を受けることになる. そのような制約の下での座標変換を求めると, ガリレイ変換でなく,ローレンツ変換になるというのが 特殊相対性理論の論旨である. ここでは,ガリレイ変換とローレンツ変換の数式的な表現を述べない. というのも,ローレンツ変換の数式的な表現が一般相対性理論を理解する上で 必要となる場面がないからである.
特殊相対性理論では,光速不変の原理とは別に, 物理学の法則は同格であるどのような座標系で記述しても同じでなければならない とする相対性原理が主張されている. もし相対性原理が成り立たないのであれば, 物理法則は座標系に依存していることになり, 物理法則が成り立つ座標系を設定しなければならなくなるので, 実質的に絶対座標系の存在を主張していることになる. 絶対座標系は存在しないというのが通常の理解であるし, 座標系に依存しない物理法則の方が, 座標系の設定に余計な制約が課せられないため便利である. 相対性原理の主張は妥当といえよう.
相対性原理は本来光速不変の原理とは別の主張であるが, 光速不変の原理によって,物理学のすべての法則はローレンツ変換に対して不変である という意味で使われることがある. この意味を明確にするために, 光速不変の原理に従う相対性原理のことを「特殊相対性原理」ということがある. わざわざこのようなことをいうのは, 一般相対性理論では「一般相対性原理」という特殊相対性原理とは異なる相対性原理が 主張されるからである.これについては後に述べる.
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