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重力場方程式の解
重力場方程式(64)の解とは,重力場方程式(64)を満たす計量を求めることである.
電磁気学では,方程式(1),(2)は一般的に解くことが可能であるが,
重力場方程式(64)は現在一般的に解かれていない.
いくつかの適当な条件の下での計量が求められている.
原点に質量Mの質点が静止しており,周りは真空としたときの重力場方程式の解は,
シュバルツシルト解といわれる.その解による計量はシュバルツシルト計量とよばれ,
証明なしに述べると
(68)
である.
シュバルツシルト計量(68)は
(69)
で発散しており,この内部に光が入りむと脱出できなくなるので,
このような時空はブラックホールになると解釈されている.
通常,ブラックホールは物質密度がきわめて高く,
一点に収縮した物体であると考えられている.
そんな物体の極端な状態として,物質密度が無限大で完全な一点に収縮してしまったものを
考えることができる.
シュバルツシルト解はそのような条件で求めた解である.
このような物体は現実に自然界に存在している.
電子などの素粒子は物質密度が無限大で完全に一点に収縮した物体である.
したがって,電子などの素粒子はブラックホールである可能性がある.
電子は質量の他に電荷やスピンをもっているので,シュバルツシルト計量(68)を
直接適用できない.原点に質量M,電荷Q,角運動量(スピン)J の質点が静止しており,
その周りが真空としたときの重力場方程式の解は,
カー‐ニューマン計量として知られており,証明なしに述べると
(70)
である.
ただし,
(71)
(72)
(73)
である.この解は J=0 や Q=0 のときも成り立つ.
カー‐ニューマン計量は,シュバルツシルト計量とは異なり,
必ずブラックホールになるわけでなく,式(73)の判別式から
(74)
の条件を満たす場合のみブラックホールになる.
電子の場合には,質量 M=9.11×10-31kg,
電荷 Q=1.60×10-19C,
角運動量(スピン) J=5.27×10-35J・s であるので,
D=-3.73×10-26となり,条件式(74)を満たしていない.
したがって,電子はブラックホールでない.
同様に他の素粒子もすべてブラックホールでないことが分かる.
一方,一般に質量の大きな素粒子は不安定で,レプトンは電子が残るように崩壊し,
ハドロンは陽子が残るように崩壊するので,
ブラックホールを自然界で見出すのは不可能であるように思われる.
ブラックホールとなるような計量を与える素粒子は発見されていないし,
そのような素粒子は質量が大きいため
きわめて不安定で,質量の小さい素粒子にすぐに崩壊してしまうと思われるからである.
付記(2000/10/10):スピン0のヒッグス粒子が存在するかもしれないという.
ヒッグス粒子はブラックホールになる.
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