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超高密度天体

この章は読み物である.SFではかつて地底探検の物語がよくあった. それらの物語における地球の中心の様子の記述は,およそ2つのパターンに分類できる. 一方は地球の中心は無重力であり,地球の回転により遠心力が働くため, 地球の中心は空洞になっていると説明する. 他方は理由は分からないが, 地球の中心には硬くて重くて万有引力により何でも引き寄せる物体が存在すると説明する. こちらの方が最近の感じがする.

ニュートン力学を知っていると,地球の中心は無重力であることが容易に証明される. したがって,前者の説の前段部分は科学的に正しいといえる. しかし,地球の中心近傍にある物質を外側に押し付けるほど遠心力が働いているとは 考えにくい.そんな強い遠心力が働いているなら,地表においても強い遠心力が働いて 様々な物質が地表からはじき出されてしまうと思われるからである. そんな状態は観測されないので, 地球の中心が空洞であるというのは言い過ぎのような感じがする.

これに対して,他方の説はまったく不可解である. 硬くて重い物体は鉄塊などのようにいくらでも存在するが, それが何でも引き寄せるという万有引力の性質をもつものまでは見つかっていないからである. しかも硬くて重くて何でも引き寄せる物体というものがどんなものかとても想像できない. ことさら地球の中心にそんな得体の知れないものが存在していると考えるべき積極的理由も見当たらない. 地球の中心には硬くて重くて何でも引き寄せる物体は存在しないだろう. しかし,そこに何があるのか特定できないのであれば, もしそこに鉄塊があれば単に鉄塊があるだけであるし, 他の物質があれば単にその物質があるだけであると考えておくしかない.

ニュートン力学は地球にだけ成り立つのではなく,すべての物体に成り立つ. したがって,ニュートン力学により太陽の中心も無重力になっている. 上の議論とまったく同じ理由で太陽の中心は空洞になっているとは考えにくいが, 硬くて重くて万有引力により何でも引き寄せる物体が存在するとも考えにくい. しかし,そこに何があるのか特定できないのであれば, もしそこに鉄塊があれば単に鉄塊があるだけであるし, 他の物質(例えば,水素ガス)があれば単にその物質があるだけであると考えておくしかない.

ニュートン力学は地球や太陽にだけ成り立つのではなく,すべての物体に成り立つ. したがって,ニュートン力学によりすべての恒星の中心も無重力になっている. 恒星には直径が太陽の直径の100倍に達する巨星がある. 上の議論とまったく同じ理由で巨星の中心は空洞になっているとは考えにくいが, 硬くて重くて万有引力により何でも引き寄せる物体 (例えば,ほとんど中性子から成る物体,すなわち中性子星)が存在するとも考えにくい. 硬くて重い物体は鉄塊などのようにいくらでも存在するが, それが何でも引き寄せるという万有引力の性質をもつものまでは見つかっていないからである. しかも硬くて重くて何でも引き寄せる物体というものがどんなものかとても想像できない. ことさら巨星の中心にそんな得体の知れないものが存在していると考えるべき積極的理由も見当たらない. 巨星の中心には硬くて重くて何でも引き寄せる物体は存在しないだろう. しかし,そこに何があるのか特定できないのであれば, もしそこに鉄塊があれば単に鉄塊があるだけであるし, 他の物質(例えば,水素ガス)があれば単にその物質があるだけであると考えておくしかない.

ニュートン力学は地球や恒星にだけ成り立つのではなく,すべての物体に成り立つ. したがって,ニュートン力学により銀河系の中心(重心)も無重力になっている. 銀河系の中心には物質がない可能性が高い. というのは,適当に選んだ2個の恒星の重心位置には通常物質が存在しないからである. たとえ何らかの物質が存在していたとしても偶然であると考えられる. 適当に選ぶ恒星を3個,4個…一千億個…と増やしてもそれらの恒星の 重心位置には通常物質は存在しない. たとえ何らかの物質が存在していたとしても偶然であると考えられる. 適当に選ぶ恒星を「銀河系を構成する恒星」としても それらの恒星の重心位置には通常物質は存在しない. たとえ何らかの物質(例えば,水素ガス)が存在していたとしても偶然であると考えられる. そのため,銀河系の中心には硬くて重くて万有引力により何でも引き寄せる物体 (例えばブラックホール)が存在するとは考えにくい. なぜなら,硬くて重い物体は鉄塊などのようにいくらでも存在するが, それが何でも引き寄せるという万有引力の性質をもつものまでは見つかっていないからである. しかも硬くて重くて何でも引き寄せる物体というものがどんなものかとても想像できない. ことさら銀河系の中心にそんな得体の知れないが存在していると考えるべき積極的理由も見当たらない. 銀河系の中心には硬くて重くて何でも引き寄せる物体は存在しないだろう.

なお,中性子星とは,ほとんど中性子から成る物体をいうから, 中性子そのものか中性子を含む原子核である. 中性子を100万個程度含む原子核というのものも思索の上で考えることができる. 中性子星は中性子又は中性子を含む原子核であるというのは, 中性子でなく,かつ中性子を含む原子核でもない中性子星 というものを概念として考える必要がないことを意味する. 中性子を100万個程度含む原子核は見つかっていない. きわめて不安定であるためである.


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