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万有引力の法則の共変形式 試案2

次に考えられるのは,電磁気学の方程式(1),(2)と同じように, ベクトル形式によるものである.この場合は種々の理論が可能である. その中で,最も妥当と思えるのは万有引力の法則が

  (41)
を満たすとするものである. Ki は万有引力についての4元ポテンシャルである. Li は運動量密度ベクトルで
  (42)
で定義される.ui は4元速度で
  (43)
で定義される. K0 をφ/cとすると,αは定まり
  (44)
となる. Ki に相互作用する質量 m の物体が受ける力は, 重力場テンソル Hij
  (45)
と定義したときに
  (46)
になると仮定する. これは,電磁気学では4元ポテンシャルAiに相互作用する電荷Qの物体が受ける力は 電磁場テンソル Fij
  (47)
と定義したときに
  (48)
となることからの類推である.式(48)による力はローレンツ力とよばれている.

また,式(41)から一般的にK を解くことができる. 結果だけを記すと,体積要素 dv', 体積要素 dv' から求める4元ポテンシャル Ki までの距離 r, 時刻 t-r/c における Li によって

  (49)
となる. これにより,万有引力の場は一般的に解くことができる. このとき,運動方程式は
  (50)
となる. 万有引力の法則は,4元運動量と4元運動量の相互作用であると解釈される.

教科書[1]によると,万有引力の法則を共変形式で書くことは不可能であるという. 理由は質量が保存量でなく,万有引力がエネルギーに作用するからであるという. しかし,ここで述べた形式のように不可能ではない. おそらく,ゲージ理論からの言及と思われるが, 電荷の保存則は,方程式(1)とローレンツ条件(2)からの帰結であって, 波動方程式(1)自体は電荷の保存則とは関係がない. 電荷の保存則とは関係なく,共変な形式の波動方程式(1)は記述されている. 保存則の存在と,共変形式で記述できることとは同義でない. つまり,保存則の存在とは無関係に,特殊相対論的共変な演算子と特殊相対論的共変なスカラー,ベクトル,テンソルによって 方程式を記述することは可能である.

また,ベクトル形式では斥力を与えるという意見がある. 電磁気学の場合とはポテンシャルに付く符号が異なるために,主張される意見のようである. 斥力を与えるというのは誤解であろう. この試案2では特殊相対性原理に従って万有引力の法則を完全に記述している.

万有引力の法則を共変形式で記述するという課題に対して, 一般相対性理論が唯一で必然の解答でないというのが問題である. しかも一般相対性理論は後述のように特殊相対性原理を満たしていないので, 重力場方程式は誤答のようにも思われる. 一般相対性理論が難解である第一の原因は, このように問題に対して正確に答えず別物を提供しているところにある. しかし,実験事実は他の理論を排斥しうる精度で一般相対性理論が正しいのだという. この試案2に基づいて水星の近日点の移動や光線の折れ曲がりを求めてみると, 一般相対性理論に基づく結果と少し異なる結果が得られる. (参考:場の古典論§39 クーロン場のなかの運動。 ここに、質量mおよび電荷eをもつ粒子が第2の電荷e’のつくる場 のなかでおこなう運動の軌道の式が記述されている。 ポテンシャルを万有引力による場と解釈すれば、 そのまま水星の近日点の移動を求める式として利用できる。 )

これを用いた例題が付録10.共変形式の万有引力の法則のニュートン近似にある.


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修正(2000/12/1)

E-Mail: knxkg921@ybb.ne.jp


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